本会のモットーはECCE&FIAT(エッチェとフィアット)、それはルカによる福音1章38節にあるマリア様の言葉「わたしは主のはしため、お言葉どおりこの身になりますように」から由来している。このモットーを生きることを望みとするだけでなく、そのみ言葉より力をいただく体験もさせていただいた。そして、私たちと同じ召命を生きたいと望む若い姉妹たちが、このモットーを喜んで生き、人生の軸とできるかどうかのプロセスにも関わらせていただいた。
海外で、特にアジアの姉妹たちと共に生活する中で、一人一人の背景にある教育と文化が、このECCE&FIATを生きることにどのように影響しているかをつくづく知らされた。「わたしは主のはしため」。今の私たち日本人は「はしため」を実際には知らない。ほとんどの人々が、外国人のメイドと共に生活することもない。でも、アジアの大半の国の人々は知っている。それゆえ「はしため」になることへの抵抗と反応が敏感だ。ちょっとでも不当に扱われたり、民主的ではないやり方で事が進められた時の反応は半端ではないのだ。「主のはしため」になることは実に大きなチャレンジである。誓願を立てた若い姉妹が、涙ながらに苦しい体験を分かち合ってくれるとき、誓願の重さを理解して踏みとどまろうとする彼女を励ましてきた。この困難を神様とともに過ぎ越せるときに、修道者として成長できると信じてともに祈ってきた。
「お言葉どおり、この身になりますように」、初期養成にある姉妹たちは、たびたび自分のやりたくないこと、得意ではないことを“自由に”引き受けられる訓練を受けてきた。「得意なことを伸ばす養成」を期待していた修練者にとってはつらい体験でもあった。「自分のなりたい自分になる」ことから「神様の望まれる自分になる」こと、これは私たち修道者にとって生涯の課題だと思っている。
(Sr. S.A)