マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本セクター

足立修道院(1971年3月28日創設)

*創設時の姉妹たち Sr.生藤美弥子 Sr.小川フミヨ Sr.野口スガ Sr.是枝邦子

足立修道院は、イエズス会が運営していた虚弱児施設で施設長をしておられた、安藤神父様からの要請に応えて創設されました。私たちは大きな事業体や修道院の建物から、外に飛び出していくドキドキや、勝手のわからないオロオロした気持ちでいっぱいでした。足立に到着した日のことはよく覚えています。夕方遅い時間でしたが、神父様に歓迎され、私たちのために準備してくださった修道院の建物に入りました。お姫様のように迎えられたと思いきや、すぐに施設の方で打ち合わせがあるので来てくださいと言われ、行ってみると、そこはどうにも歓迎ムードではなく、いきなり仕事のファイルをどっさりと目の前に積まれてしまいました。後からわかったことですが、私たちが勤めることについて、職員には事前に何も説明がなかったため、大きな戸惑いがあったようです。

Sr.生藤は施設の看護師として働き、Sr.小川は愛児診療所に勤めましたが、私は看護師ではなく保母として施設で働くように言われました。いたずらやけんかをする子どもたちに対して、叱っていいものかどうか悩みました。共同体の食事作りなどは、Sr.野口が引き受けていましたが、最初の頃は朝から夕方まで戻ってこない私たちを待って、一人でとても寂しく、心細い気持ちだったようです。その後はだんだんと、買い物に行く商店街や近所の方々とのかかわりやお付き合いが広がり、よく地域に浸透して喜ばれました。

私たちも共同体の祈りや食事の時間は、姉妹として心の交わりの時となり、箸が転がっても笑い出すような雰囲気は、それぞれの使徒職を果たすための大きな支えとなっていました。保母としての私は「邦子お姉ちゃん」と呼ばれ、子どもたちとのかかわりによって、愛されること、愛することから力をもらっていたと思います。私は創設時の短い期間しかいませんでしたが、小学校入学のために子どもたちと別れるときの辛さや、かかわった子どもたちの名前もまだ覚えています。職員さんたちとも1年かかって、お互いに知り合い、受け入れ合うことができた体験でした。それまで、修道会の事業体の中で役職についたりしながら、知らず知らずのうちに、自分のなかに権威や特権意識のようなものがあったのだと思います。足立での体験を通して、仕えるということ、チームワークで働くことを学ばせていただいたことに感謝しています。