マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本セクター

メキシコ「新型コロナ感染症が広がる中での移住者への奉仕」

新型コロナウイルス感染症が猛威をふるうメキシコ南部にある移住者センター「ベタニアの家」で奉仕するシスターの分かちあいです。 

2020年の始めころから、「ベタニアの家」を利用する移住者の数が増えてきました。アメリカン・ドリームを夢見てアメリカを目指す人々や、暴力が激化する自国から安全に暮らせる場所に逃れて来る人々で、国境を越えてメキシコに入国後「ビースト(野獣)」と呼ばれる危険な貨物列車に乗ってやってきます。当時、私たちは中国で新型コロナウイルス感染症が広がっているということを耳にしましたが、その頃には、移住者たちもスタッフも、コロナがメキシコで移住者の家の活動に影響を及ぼすようになるとは、誰も考えていませんでした。

しかし、メキシコでも感染者数が増え「ベタニアの家」のスタッフや協力者たちは、到着する移住者をこのまま受け入れ続けるのか、あるいは一時中止した方がいいのかを決めた方がよいと考えるようになりました。そこで、集まりを持ち、それぞれの意見を聴きあいました。新型コロナウイルス感染症への恐れは感じるけれども奉仕を続ける覚悟があると、皆が口々に言うのを聞いて、本当に感心しました。間もなく感染者数は爆発的に増え、私たちは教区の司牧チームと相談し、私たちの活動を教区の移住者司牧チームの活動に組み入れていただくことにしました。そのようなことをしているうちに「ベタニアの家」に到着する移住者の数は次第に減り、突然、外国からやってくる移住者の姿は全く消えてしまいました。

それ以降「ベタニアの家」にやってくるのは、アメリカ合衆国に入るために国境近くまで行ってアメリカに入国できずに戻ってきた人々です。メキシコ移住局が、彼らをグアテマラ近くの国境までバスで移動させましたが、北部三角地帯の国境は、検疫によって封鎖されているので、ビアエルモサなどの街頭にさまようことになり、そこからまた「ビースト」と呼ばれる危険な貨物列車に隠れ乗り、私たちの町、サルトデアグアに着きます。ここで、ようやく移住者を受け入れている私たちの家を見つけてやって来るのです。この人々は、自国を離れざるを得ない不正な苦しい体験ばかりでなく、アメリカやメキシコを目指す道中での悲惨な体験、そして今は新型コロナウイルス感染への恐れを一身に担い、打ちひしがれている人々です。私たちはそれらの苦しむ人々を喜んで迎えますが、コロナウイルス感染予防のために、細心の注意を払わなければなりません。WHOの指針により、一つの部屋に皆を受け入れることはできず、グループごとに部屋を分け、一人ひとりの使用したタオルなどはすべて消毒しなければなりません。UNHCRとWHOの共催で、移住者や難民と関わる人々のための感染予防のオンライン・ワークショップが開催され、私たち「ベタニアの家」のスタッフは皆参加しました。このワークショップによって、私たちは移住者を安心して受け入れる技術を学ぶことができました。

メキシコ中で、非人間的な状況に追いやられた何千人もの移住者があふれている事実を前にして、メキシコ司教協議会は、特にパンデミックの間、彼らの人権を守るために強制収容をしないようにと政府に交渉しました。その結果、収容所に36時間以上移住者を留め置くことはできないと決まりました。すばらしいニュースですが・・・大きな問題が残されています。というのは、パンデミックのために、ほとんどの移住者の家やセンターが閉鎖されてしまったため、収容所から解放された移住者たちは路頭に迷うことになり、彼らが感染の危険にさらされると同時に、彼らを通して町の人々への感染が広がる恐れがあるのです。また彼らは、メキシコ当局や人々からの言葉や身体への暴力によって排斥され、生き延びるために働くことも不可能になりました。

このような状況の中、私たちは、国際移住機関と司教協議会難民移住移動者委員会から、私たちの「ベタニアの家」に移住者を受け入れ、特に収容所から解放された人々を受け入れるようにとの正式な依頼を受け取りました。パンデミックの中、感染予防などに関して、多くのオンライン・ワークショップが開かれ、それらは、この依頼を実践するために大きな力になりました。また、この緊急事態に対応するために、多くの支援をいただいたことに感謝しています。寛大に多くの寄付を寄せてくださった方々、移住者の兄弟姉妹への奉仕を続けるために霊的・物的に支援してくださったNGOや教会など、本当に多くの方々に支えられてこの活動を続けることができました。新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの最中、最も弱い立場に追いやられている移住者への奉仕を続けることができることを、神様に、また私たちの活動を支えてくださる多くの支援者の方々、特にFMMの姉妹に感謝しています。危険が伴いますが、キリストの愛を生きるこのミッションに呼ばれていることを、本当にうれしく思っています。

Ma. Diana Muñoz Alba, f.m.m.