マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本セクター

イギリス「コロナ禍における病院チャプレン」

イギリスで、新型コロナウイルス感染拡大防止の為にロックダウンが発令される中、病院チャプレンとして患者訪問を続けたシスターアグネスの分かち合いです。

皆様もご存じにように、病院チャプレンは病院の患者さんやスタッフのために、週7日、24時間、いつでも精神的、霊的そして秘跡の奉仕ができるように備えていなければなりません。新型コロナウイルス感染症が広がり、イギリス全土に恐怖の渦が広がっていきました。病院では感染予防のために訪問が厳しく制限されました。そんな中にあって私はチャプレンとして、いつでも呼ばれれば応えられるように準備していました。しかし、チャプレンの訪問にも、個人用防護具(PPE)の着装や患者さんとの直接接触の禁止などかなり厳しい条件や制限がつけられました。医療従事者以外で患者さんが出会えるのは病院チャプレンだけになりましたので、患者さんたち、特に新型コロナ感染者は、私たちチャプレンの訪問を心から待ち望んでおられるようでした。私たちの役割は患者さんたちのお世話ばかりでなく、家族の方々の支援も含まれています。患者さんを訪問できなくなり心配している家族に、電話やEメールによって支援を続けました。

患者訪問は私たちチャプレンにとって、とても困難なものとなりました。防護具を付けているために大声で話さなくてはならず、またソーシャル・ディスタンスを取るために、関わりはよそよそしくなりがちです。洗礼や病者の塗油などの秘跡や祝福を与える司祭にとっては、なおさら難しい状況になりました。

このような状況の中での病人訪問には、新型コロナウイルスに感染する危険が伴うことをよく理解していましたので、訪問前には心が重く感じられ、緊張しているのも事実でした。しかし、孤独のうちに死の恐怖におびえ、苦しんでいる患者さんが待っておられるのです。最初に出会った新型ウイルス感染症の患者さんのことを今でもよく思い出します。イギリスでロックダウンが発令されて間もなくのころでした。彼女は家族と出会うこともできずに、全く独りで天国に旅立とうとしていました。ソーシャル・ディスタンスが義務付けられていましたので、私は彼女に触れることもできず、ベッドサイドで彼女の最期の呼吸に合わせて、ただ祈ることしかできませんでした。彼女を見送った後、帰路の車の中で涙を抑えることができませんでした。彼女が孤独のうちに召された悲しみと共に、自分が感染源となり共同体の姉妹方や共同体に寄宿する学生たちに、ウイルスを感染させてしまうのではないかという恐れもありました。

このような悲しみや恐れもありますが、チャプレンとしての奉仕は、最も弱く小さくされた人々に神の現存を分かち合い、他の人々の命を救うために危険を顧みず自らを捧げるスタッフの方々に神の愛を伝える良い機会になっていると思います。スタッフの人々は周りの人々の安全を気遣い互いに励ましあって、このような緊張と疲労の限界状態の中でも、微笑みながら患者さんへの奉仕を続けておられました。今、ロックダウンが緩和され、新型コロナウイルス感染症の患者さんたちの症状も改善されつつあります。しかし、感染への恐れと予防から、まだ家族の面会の許可は出ていません。私は主の恵みにより、今のところ感染から守られ、チャプレンとしての奉仕を続けています。

主が、パンデミックのこの時期に、私を病院チャプレンとしてお使いくださったことを心から感謝しています。正直なところ、感染への恐れも心配もありました。しかし、それ以上に神のご保護と姉妹たちの祈りを感じる日々でしたし、これからもそうだと思います。最期を共にさせていただいた方々の永遠の安息とご家族の慰めを祈りつつ、今日も患者訪問を続けています。

Agnes Young A. CHOI, fmm