修道院の庭のコスモスもそろそろ終わりになってきました。
次々とピンクの花を咲かせて随分長い間、楽しませてくれました。
思い起こせば、雑草畑かとまがうほどに自由奔放に元気よく伸びていた草(くさ)叢(むら)の
真ん中あたりに、去年のこぼれ種から芽を出した何本かのコスモスが、逆境にもめげず
たくましく成長し、可憐な花が風に揺れているのを見たのは夏の終わりのことでした。
しかも昨年のコスモスに比べ、茎もしっかり太く育っていたので、今年は花を長く楽しめると
心待ちにしていたのですが、台風による強風、しかも度重なる台風襲来によって、すべての
コスモスが風の吹いた方向にばっさり倒れ、無残な姿で地面に横倒しにされてしまいました。
いつもなら起こして支柱を立てたり、ひもでくくったりしたのですが、今年はその余裕もなく
気にしながらも、そのままにしていました。
ある日のこと、横倒しになった軸からつぼみのついた枝が伸びているのに目がとまりました。
それもすべて上に向かって伸びているのです!
近よってよく見ると軸からはいっぱい根が出ていました。
そして次から次へとあの優しい花が開き始めたのです。
おまけに潮風に当たったからか、花の色がとてもくっきりとあざやかなのです。
コスモスの花も葉も、風に吹かれる様子はとてもはかなげで弱々しいのですが、
倒れてもなお、花を咲かせる力強さを持っているのですね。
軸から根をはり出してしっかり栄養を得るたくましさも、
たとえ折れても少しでも根に繋がっていれば生き続けて花を咲かせる強さも持っていました。
食堂の窓からは、雑草の中のコスモスの群れがとてもきれいに見えたのですが、
2階の私の部屋から見下ろすと 花の顔が一つ一つはっきりと見えて、
それぞれの花の可憐さと、互いの美しさをつなげた全体の美しさとを眺めることが出来ました。
コスモスは今、たくさんのメッセージと種を贈ってくれようとしています。 (Sr T.H)