2人の女性がそれぞれバギーを押して楽しそうにおしゃべりをし ながら公園を歩いていた。2―3歳位の男の子が2人、じゃれながら 母親のそばを走り回っている。つつじが満開で暖かい一日 花見客も大勢にぎわっていた。母親たちはおしゃべりをしながらも子供を目で追っていたが いっとき 子供たちは母親の視界から消えてしまった。
しばらくして、子供のなき声が聞こえた。息子の名前を呼ぶ母親の声が耳に入ると 泣き声は一層大きくなった。声の方に目をむけると、小さい方の男の子が転んで うつぶせになって泣いているのが見えた。すると もうひとりの男の子が泣いている子のそばにきて 一生懸命 抱き起こそうとしているのだ。が 小さいとはいえ、泣きじゃくる子は、なかなか思いどうりにならない。困ったようにその子は、今度は転んだ子の前に行って 小さな手で頭をやさしくなで始めたのである。何回も何回も・・・黙って。いつの間にか小さい子は泣き止んで立ち上がり、母親のもとに駆けていった。 私はなにか ほほえましくて 口元がゆるんだ。
ああ 神さまも転んだ私に対して そうして下さっているのだと 体中に暖かいものが溢れてきた。(Sr. S)