マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本セクター

イギリス「多発性硬化症友の会ボランティア」

私自身が多発性硬化症(MS)の患者ですが、友の会の支援ボランティアとして活動を続けています。私の活動について、皆さまに分かち合いたいと思います。

多発性硬化症友の会とは

多発性硬化症友の会は患者の自助グループであると同時に、ボランティアを通して支援を提供する団体で、英国内に270以上の地域グループがあります。これらのグループで働くボランティアの大部分は、自分自身がMSに罹患しているか、あるいは家族や友人がMSに罹患している人々です。私は、友の会の会員であると同時にボランティアとして活動しています。それぞれの地域グループは、患者自身とボランティアのチームで構成されています。チームの各メンバーは、グループコーディネーター、財務担当者、支援ボランティアなど、それぞれの役割を担っています。私が所属しているグループは、私がボランティアを始めた2019年には月1回のチームミーティングを行っていました。しかしパンデミックの影響で、グループミーティングも支援のための訪問もできなくなってしまいました。それで、ロックダウン以降私の活動は、オンラインと電話での連絡に限られています。

支援ボランティアとは?

私は「支援ボランティア」として活動しています。最初は「支援」という言葉に、自分も患者なのに、何ができるのかという心配がありました。しかし、2回の面談(電話と対面)そしてトレーニングコースを受けて、その役割がはっきりわかり、私にもできるのではないかと思うようになりました。活動の内容は主に5つの分野に分けられます。

  • 友の会の説明:友の会の概要や提供しているサービスについて。
  • 情緒的な支援:主に、注意深く相手に耳を傾けることによって。
  • 公的サービスの情報:国や公共団体から受けられる経済的支援などについての情報を伝える。
  •  公的サービスにつなげる:上記の支援を実際に受けられるように支援する。
  •  訪問や電話:病院や家への訪問や電話によって、個人的な関わりを深める。

私ができる支援は話を聞くことから必要なケアや助成金に関する地域の情報にアクセスできるようにしたり、申請の手助けをしたりすることまでさまざまです。また、体操のグループや読書会などに誘って外に出る支援もしていますが、外のグループに誘われるだけでも喜ぶ人が多いようです。私の活動の多くは、MSと診断されたばかりでどこに相談していいのかわからない人たちの支援です。私の連絡先を市役所のHPに掲載しているので、多くの人々がメールを送ってきます。それで、私はメールの送り主に役に立つ可能性のあるサービスについて多くの情報を提供しています。

また、コロナの前には、訪問活動をよくしていました、その中で病気のために、極貧の生活を余儀なくされている人によく出会いました。そのような場合にはすぐに公的サービスを申請し、少額ですが助成金を受けられるように手配しました。最初のロックダウンの直前に訪問した女性は、家の床がすべるために家の中を移動できなくなっていました。それで、友の会地域グループで安全な床材を貼り、彼女が家の中で部屋から部屋へと安全に移動できるようにしました。このような支援ができることをとてもうれしく思っています。

将来に向かって

私は自分の体験から、MSは人生に多くの困難をもたらすことを知っています。そして私自身、この友の会から長年にわたって助けていただきました。MSを理解している人と「ただ話したい」「相談したい」と思ったときに、この会で出会った人たちを通して、主が私にお恵みをくださったことを実感しました。時が経つにつれ、私は他の人にも同じことができないかと深く思うようになりました。今では、MSのために人生が全く変わってしまうような苦労をしている人たちを、支援できるようになったことを神様に感謝しています。

この友の会にはさまざまな人生哲学や信仰を持つ人々、無宗教の人がいますが、皆、真の愛と寛大な心をもって参加しています。キリスト教徒である私たちはこれを「隣人愛」と呼ぶでしょう。また「人間であることの醍醐味」と考える人もいるでしょう。このことから、2017年4月3日にバチカンで行われた教皇フランシスコの一般謁見での言葉が頭に浮かびました。教皇は次のように述べています。「神は世界に多くの宗教が存在するという現実を容認なさいました。相違を恐れてはなりません。神はそのことを認めておられます。むしろ人生をともに歩むために、兄弟愛をもって働けるかどうかを心配すべきです。」

私はMSで苦しみ、それを通して様々な人々との出会いに導かれました。主はすべてを御心のままにお使いになられます。私の病気も主の栄光のために使ってくださいました。神に感謝!

Roisin Hickey, f.m.m.