アレルヤの喜びのうちに迎えた復活祭の朝、スリランカでは連続テロによって、アレルヤの喜びが一瞬のうちに悲しみに変わってしまいました。スリランカ管区の姉妹が、テロ後の様子を知らせてくださいました。
復活祭の朝、晴れ渡る心地よい夜明けを迎えました。晴れ着を着たキリスト者たちは、家族そろって復活祭の礼拝やミサのために教会に向かいました。スリランカで、キリスト教は少数派(7%)ですが、この日がキリスト者にとって特別な日だということは、どの宗教の人も知っていて、国中がお祭りの雰囲気に包まれていました。しかし、その雰囲気は、すぐに悲しみに変わってしまったのです。
8時45分、次々に爆発が起こりました。3つの教会とコロンボの大きな3つのホテルで、290人以上の人々が命を失いました。負傷者は、その数倍にも及びます。自爆テロリストたちは周到に計画を進め、その午後、予想だにされないコロンボ以外の二つの場所でも爆破テロが起こり、その48時間後に、ISISによって犯行声明が出されました。
コロンボでテロの被害を受けたカトリック教会は次の二つの教会です。
1)聖アントニオ教会:国中でも有名な教会で、キリスト教以外の人もよく見物に訪れる教会です。復活祭の朝のミサのために、国中から信徒が集まり、教会は一杯で、洗礼の約束の更新をした直後に爆発が起こりました。
2)もう一つはコロンボ郊外のカトリック村にある聖セバスチャン教会で、ここも信徒で一杯でした。ミサがちょうど終わろうとしている時に、爆破が起こりました。犠牲者の中には、一人のシスターの妹夫妻も含まれています。彼らの小さな3人の子どもはかろうじて難を逃れましたが、これからどのように生きていくのでしょうか。教会でもホテルでも、両親が殺されたり、反対に子どもが殺されたりで、一つの家族の中で2人も3人も亡くなり、ひどい家族では、7人が殺された家族もあります。
その他に、東海岸にあるシオン教会も被害を受けました。自爆テロリストは、当初は聖母教会を標的にしていたようですが、テロリストが着いた時にはミサが終わっていて、すでに人々は帰ってしまっていました。そこで、近所にあるシオン教会に入っていったようです。防犯カメラがその姿をとらえています。
悲劇が起こったこの日以来、私たちは病院や家庭を訪問し、できる限りのことをしています。シスターたち、ブラザーたち、そして司祭たちは、物質的・霊的・心理的に人々を助けようと必死に活動しています。一家の主を失って生活に困っている家庭には食べ物を配っていますが、それ以上に求められているのが、トラウマ・カウンセリングです。本当に多くの人が、恐怖の体験から立ち上がれないでいます。
すべての宗教が、祈祷会を開いています。その中には、諸宗教が共に行う祈祷会もあり、どの宗教もできる限りの支援を行っています。テロ事件の後、概ね人々は冷静を保っています。それには、アルバート・マルコム・ランジス枢機卿の呼びかけが功を奏していると思われます。枢機卿は、自爆テロ攻撃が起こった直後に、信徒たちに、冷静を保ち報復や仕返しを決して考えないようにと呼びかけました。そして、ただ赦すこと、十字架上で「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです。」と言われたイエスのように、祈りによってテロリストを赦すことが、今私たちがなすべき唯一のことだと勧めたのです。政治や宗教の指導者、外交官たち、そしてイスラム教徒も含めてすべての人々が、枢機卿の暴力の連鎖を防ぐ勧めに感心していました。マスメディアでも枢機卿の言葉を取り上げ、日々感謝の内にその言葉を報道しています。また、枢機卿は、宗教があったらテロリストになるはずはないので、テロリストはイスラム教徒ではないとも述べ、イスラム教徒を兄弟姉妹として受け入れるようにと勧めています。しかし同時に、政府には、きちんと調査を行い、正義を実行するようにと要求しています。
更なる爆破予告の脅しがあるので、2週間たった今も学校や教会は閉鎖されたままです。この状況がいつまで続くのかわかりません。政府、軍隊、警察、公安などが、必死に調査にあたり、国中でISISと関連のあるグループが発見され、爆弾や武器が押収されています。どうやら、爆破テロの準備をさらに進めていたようです。これらの調査の結果は日々公表され、国民に知らされますので、私たちは命がけで調査に当たっている人々に感謝しています。一日も早く、普通の生活に戻れますように。
このように国中の人々が一つになったことは今までありませんでした。国中に、愛と赦しの雰囲気が広がっています。そして、世界中のシスターたちのお祈りや励ましの言葉に感謝しています。これほど全世界のシスターたちを身近に感じたことはありません。本当にありがとうございました。
スリランカ管区