マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本セクター

レインボー移住者センター ― 韓国

1992年に外国人労働者を受け入れるようになって以来、多くの外国人が韓国に入ってきました。出生率の低下や高齢化によって、労働人口が減り、また「3D(汚い、難しい、危険な)仕事」が敬遠される中で、外国人労働者の数が増えてきました。また結婚のために入国する外国人も急速に増えています。「レインボー移住者センター」で奉仕するシスターの分かち合いです。

外国人が急速に増加し、今では国内の移住者数は、200万人に達しようとしています。韓国の総人口(5,000万人)と比べると、僅かだと感じられるかもしれませんが、韓国語を話すのは、世界で韓国だけだということを考え合わせると、この増加率はかなり大きいと言えるでしょう。

 韓国への移住者の半分は中国からで、アメリカから11%、それ以外は、ベトナム、フィリピン、日本、カンボジアなどです。移住者の多くは労働者ですが、結婚できない年配の男性との結婚のために来る女性もいます。

 各地域に、外国人のための多文化支援センターがあり、様々なプログラムを展開していますが、その対象は正規滞在者に限られています。

2012年の暮れに、私たちは共同体の事業として、韓国語のクラスや多文化家庭へのカウンセリングを始めました。レインボー移住者センターです。政府の援助を受けずに、自分たちの力で運営しているので、非正規滞在者(不法滞在者)への支援を行うことができます。近隣には小さな工場が多く、また港も近いので、捜査を受ける可能性が低く、レインボー移住者センターは韓国中で、非正規滞在者が一番多く訪れるセンターだと言われています。

 センターでは、ポーランド人のSr.マリア・パクラ、ベトナム人のSr.トゥ・ハン・テレサと私の3人が働いています。センターを訪れる人の中で一番多いのがベトナム人です。ラバン共同体(ベトナムのマリア様の出現した場所の名前)には、約100名のベトナム人信徒がおり、月2回行われるミサには、およそ70人が出席しています。

 私たちは、また、韓国語講座も開いています。子どもたちのためには、英語とベトナム語のクラス、折り紙教室、読み聞かせなども行っています。

 さらに、日々の生活にも苦しむ貧しい家族には、恩人たちから寄せられた生活必需品を配っています。役所への登録などの手続きに支援が必要な人々と一緒に役所に行ったりしています。

 非正規滞在者にとって、一番大きな問題は、怪我をしたり手術を受けなければならなくなったりした時です。彼らには保険がないので、治療費の100%を払わなければなりません。そのような時、私たちは支援者に呼びかけて、治療費を準備しています。

 現行の法律では、非正規滞在の女性が出産すると、その子どもは韓国の国籍を取ることができません。多くの場合は、両親と4か月を過ごし、その後は母方の祖父母の元に送り返しています。母子が引き離されるのを見るのは、本当につらいものです。それで、私たちは、今年の3月から、そのような子どもを引き取ってお世話をすることに決めました。

 多くの外国人女性が、国の家族を支えるために、田舎の老人や郊外の貧しい人々と結婚しています。さらに偽装結婚さえあります。文化、言語、気質の違いのために、結婚生活はとても難しいものになっています。離婚が一番の逃げ道というような状況も生まれ、修道女として、離婚の手続きを手伝うことはとても複雑な気持ちになりますが、女性を助けることが一番大切なことだと思っています。

 年に2回、様々な国籍の移住者たちと遠足に出かけます。楽しい時を共に過ごし、言葉ができなくても、お互いに分かり合えることを体験しました。私たちのうちに神がおられるとき、「愛」が私たち皆を結ぶ共通言語になるのではないでしょうか。

 もう一つの私たちの活動は、工場の事故で手足を切断してしまった受刑者を訪問することです。彼は殺人の容疑で、懲役15年の刑の判決を受けていますが、無実を主張しています。私たちは国にいる彼の家族とも連絡を取り、彼と共に彼の家族も支えています。

 韓国には、まだ外国人に対する偏見がありますが、政府は様々な法律を整備して、移住労働者の経済や人権を保護しています。

 経済や宗教上の問題のためであっても、戦争や災害のためであっても、自国から韓国に移住してきた人々の人権を守り、人間としての尊厳を尊重すること、それが私たちの目的です。そうすれば、きっと神に守られて、皆で共に暮らすことができるでしょう。

Jung SungYun Stella, fmm