今年も暑い夏がやってきます。私は、北海道の中でも涼しい地方出身なので、東京の暑い夏がとても苦手です。ですから、涼しい部屋は大歓迎なのですが、扇風機や冷房の風が大の苦手、風が当たらないところを何時も考えて座っています。聖堂の席もそうなのです。
子どもの頃は一番前に陣取り、神父様の所作や、普段デレデレしている男の子達がビシッと侍者をする姿を見るのが好きでした。それが中高生になり、お世話される方から、お世話する方になると、ミサに参加しつつ、他の信者さんのことが気になり一番後ろに座るようになりました。しばらくはその癖が抜けなかったこともあり、何処の聖堂へ行っても後ろに座わっていました。でも本当の理由は・・・何かあったときにすぐ逃げられるように・・・ではなく夏の冷え対策のためなのです。扇風機や冷房の風に当たり続けるとやがて痛くなってしまうのです。本来ならひざ掛けやカーデガンを用意すれば良いのかもしれませんが、暑いのでつい忘れるし、持てば持ったで荷物になるし、なかなか思うようになりません。そんな状況なので風が来ない後ろが一番気に入っていました。
ずいぶん前の話なのですが、ある時、後ろに座る方々は涼しくないだろうと、扇風機を特別に置いてくださったことがありました。だんだん寒くなり、痛くなり、とうとう私は更に後ろにある告解部屋に入って、しかもカーテンをまとってミサに与ったことがありました。
今となっては楽しい思い出ですが、その当時は冗談抜きで『ミサに与るのも命がけ・・』と思ったものでした。そんな思いをした幾つかの聖堂も老朽化や、あるいは耐震構造に問題があったりして取り壊されて、今は冷暖房が完備された聖堂に生まれ変わりました。
今私が毎朝行く新しい聖堂も冷暖房が完備され、扇風機の風が直接当たることもなくなったので、最近は中央の端に座っています。風が気になったことはありませんでした。ところがそう思っていたのは私だけのようで、私よりももっと敏感に風を感じるご信者の方が、
「ここは、風が来て痛いのよ。」
と、言っていたのです。
私は、聖堂の席を色々替わりながら無意識に風が来ない席を探していたようです。確かに、その方が座っている所には座ったことはなかったのですが、そろそろ私の場所をその方に譲る時が来たかも・・・と思う今日この頃です。
人それぞれ、体質も、感じ方も違う・・・、見えないところで痛みと戦い、ごミサの時に「風が苦痛」で、それを捧げている方が、皆さんの周りにもいるかもしれませんね。
ちょくちょく席を変えている方がいたら、ちょっと声を掛けてあげてみてはいかがでしょう。 (Sr H.K)