アフガニスタン共和国 首都カブール訪問
2007年6月12日〜19日まで、ローマ本部会長の代理者が本部ミッション・オフィスのシスターとカブールにある国際修道会の共同体を訪問しました。そこには2名の私たちFMMのシスターが派遣されていて、その共同体は国際女子修道会連盟が後援しています。この訪問の体験を通して学んだことをお話いたしましょう。
国際女子修道会連盟がアフガニスタン共和国の人々のために何か役に立とうと、首都カブールにシスターたちを派遣したのは2004年11月のことでした。この国は戦争のひどい被害を受け、特に若者や子供たちがその影響を被っています。町は破壊され、他国の軍隊が何処にでもいます。それでも、この国の人々は親切で、シスターたちを歓迎してくれているのがわかります。アフガニスタン人は今までよその国に支配されたことがなかったので、誇り高く、たやすく屈伏することはありません。軍人たちは穏やかですが、その部族や慣習に強く縛られており、宗教的考え方は保守的です。
女性たちと親しくなるのはもっと難しいです。彼女たちは自由に外出したり、グループを作ることはできません。また、キリスト教の人たちが家庭を訪問すると、改宗という疑いの目で見られます。女性の識字率は約80%くらいであると専門家は見積もっています。2001年にタリバンが崩壊してからは、アフガニスタンの社会に変化が起こり始めました。しかし、それでも相互に結びついているイスラム教徒たちのただなかにあって、タリバン政権の崩壊後でも、女性の権利は拒絶され続けています。
この地域に「精神的、身体的発達遅滞児のセンター」を開設することによって共同体は活発になり、この国におけるミッションの意味を再発見しました。2004年に此処に来たのですが、この夢を実現できたのはやっと2006年5月です。膨大な必要性に直面していますので、このセンターは大海の一滴にすぎませんが、人々にとって、この小さな夢の実現は希望と新しい生活の灯台のようです。
その施設はPro Bambini Kabul ? PBK (カブールの子供たちのために)プロジェクトで作られました。このような状況にあって、センターには明るい希望の家があります。そこには戦争で片腕をなくした方が描いた真に迫った絵が飾られています。この方は不自由な体にもかかわらず、シスターたちに協力してくれます。そこには何にもまして、新しく生まれ変わりエネルギーいっぱいの生命があり、歌、喜びの声が聞こえ、ダンスをしたり飛び回っている姿が見られます。
センターには5歳から16歳までの子供たちが来ることができ、彼らは大切にされ、愛されています。精神的なハンディに苦しむ子どもたちは社会から拒絶され、両親たちはこのひどい状況に苦しんでいます。このセンターができた最初の頃は、父親と男兄弟だけが子供たちを連れてきましたが、今では母親も沢山きて子どもたちの成長を喜んでいます。この活動を数か月続けた後には、彼らの社会的行動に変化を見ることができました。彼らは知的レベルで多くのことを学ぶことはできませんが、少しずつ人に頼らなくなり、彼らの神の子としての尊厳を家族も認め始めています。これこそがこのPBKプロジェクトの目的なのです。母親が暑い日照りの中を歩いて小さな娘ファティマを迎えに来たとき、ファティマは彼女のために椅子を持ってきて、冷たい飲み水を大事そうに差し出しましたが、彼女はそれを見て、大きな喜びで包まれました。このような変化が少しずつ増えてきているのがわかります。
カブールのシスターは「私たちの仕事は小さいですが、神様は人種、肌の色、宗教、知的、身体的なハンディ-などにかかわりなく、人間を愛してくださいます。私たちはその証になりたいのでここにいて、その仕事をしているのです」と言いました。
カブールでの1週間だけの訪問でしたが、此処に来ることができ、大きな体験をさせていただけたことを神に感謝しています。
ローマ本部修道院