メキシコ管区に派遣されたシスターダリルは、言葉の勉強が終わった後、メキシコのシスターたちの使徒職や生活を見るために、いくつかの共同体を訪問しました。まだ言葉も十分でないシスターが体験した「奇跡」を分かち合ってくださいました。
メキシコのオアサカ州にあるフメダド共同体を訪問したのは、聖週間のことでした。そこは、先住民に奉仕している共同体です。メキシコシティーから約13時間の道のりで、まずメキシコシティーから10時間バスに乗り、オアサカ州のジャミレテピクに着き、さらにそこから別の車に乗り換えて3時間、ようやく到着しました。そこはとても暑く、水もほとんどないところです。私は幸いにも、聖週間の手伝いに行く有期誓願者のパティと一緒でした。私たちが、そこに到着したのは、枝の主日の前日でした。
私はそこに行く前には、私は来たばかりで言葉も十分でないので、きっと他のシスターと一緒に村のカテキスタのお手伝いをするのだとばかり思っていました。しかし、びっくりです!私が到着すると、教会の神父様は、共同体の他のシスターたちのように一人で一つの地域を担当するようにとおっしゃったのです。共同体責任者のレティシアは、私の割り当ての場所は、フメダドから歩いて10km位の「エル・モスコ」で、聖週間の一週間ずっとそこに泊まるようにと言いました。私は、たくさんの理由をつけて、「まだ、私にはできません。」と言いたくなりましたが、ただ「はい」と答えました。私は自分が宣教者であることを自分に言い聞かせ、すべてを神の手に委ねて出発しました。とにかく、このような状況に出会ったのは、これが初めてではありませんでした。このようなとき、神に委ねれば、大きなことを神が起こしてくださるということを過去の体験から知っていました。それで、また、私といつも共にいてくださると約束してくださった神に全幅の信頼を置きました。翌朝、ご聖体の前で恵みを祈り、モスコに向かって出発しました。
本当に、モスコでの1週間は、恵みあふれる奇跡の1週間でした。そこで、とてもリラックスしていました。どうしてなのかわかりませんが、神のおかげで、言葉の問題はほとんどありませんでした。地元の人のほとんどは、土地の言葉であるミシュテック語を話しますが、カテキスタと何人かの男性がスペイン語を少し話したので、どうにか理解しあうことができました。本当に、日常の当たり前のことの中で、多くの奇跡が起こりました。スペイン語でみことばの祭儀を行うとき、神はいつもミシュテック語への通訳を送ってくださいました。驚いたことに、復活徹夜祭まで、丸1週間、美しい意味ある典礼を行うことができ、神父様もとても喜んでくださいました。
忍耐強く惜しみなく奉仕をしてくださるカテキスタのアントニオの存在も大きなお恵みでした。そこでの私の滞在をすべて取り計らってくださり、足りないものがないかどうか確かめてくださいました。聖堂で目立つことの一つは男性の活躍です。多くの男性が、聖木曜日や聖土曜日の典礼のために、掃除や装飾の準備をしていました。女性がそれを手伝っているのです。
子どもたちが要理の勉強に来ると、子どもたちが神のみことはに飢え乾いていることに驚きました。子どもたちを前にして、私の責任の重さを感じ、よりダイナミックに創造的に教えたいと思いました。子どもたちととてもすばらしい時を過ごさせていただきました。二人の大きな女の子は夜も付いてきて、一緒に聖堂で寝ました。人々はとても寛大で、彼らの生活のリズムが、以前私が奉仕していた先住民の人々と似ていたので、慣れるのに困ることはありませんした。以前のフィリピン・ミンドロ島のマンギャン・ミッションでの体験や、10年間の養成期間の体験すべてに心から感謝しています。本当に大きな助けになりました。
復活祭の午後、フメダドに帰ったとき、私は以前の私ではありませんでした。たった1週間のうちに、私は、宣教者として、信仰も物の見方も、成長させていただいた感じがしています。今回もまた、神の愛と忠実さを体験させていただきました。神からの突然の申し出に心を開くとき、素晴らしいことが起こるということを再確認いたしました。それは「モスコの奇跡」と言ってもいいような体験でした。
Daryl de Guzman, fmm