マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本セクター

片瀬海岸「暁の星なる聖母」の聖画

2025年5月に片瀬江の島駅より5分のところにある片瀬教会を10名のシスター達と訪問しました。片瀬教会は日本家屋のような造りです。外側は瓦屋根に漆喰の白壁、内側は木の床の上、木製の長椅子が祭壇に向かって並べられています。

片瀬教会は片瀬地域旧家の山本信次郎宅で行われたミサに起源があるとのことです。山本信次郎氏は当時皇太子であった昭和天皇のヨーロッパ5か国訪問に付き添い、1921年(大正10年)ローマ教皇ベネディクト15世との会見実現に尽力された方です。1939年(昭和14年)3月に片瀬教会献堂式が行われるまで、10年間、山本信次郎宅が仮聖堂だったそうです。

片瀬教会聖堂に入り振り向くと、扉の上の壁に「富士山の見える海岸の上に聖母子が描かれた絵」がありました。全体に青い色調の絵です。夜明け前なのでしょう。富士山が見える海岸は信次郎氏が子供のころから眺めていた片瀬海岸と思われ、彼の原風景ともいえる絵の中心に御子イエスを抱いた聖母マリアという構図に私は見入ってしまいました。これは彼が1915年ローマ滞在中にイタリアの女性画家に描かせた聖画「暁の星なる聖母」だそうです。絵の下部にはベネディクト15世と読めるサインがありました。日本に生まれ、カトリックの教育を受けフランス語を得意とし、イタリア大使館付き武官として働き、帰国後は片瀬の家と土地を教会/修道会に寄進し、カトリックの後継者である若者の育成に自宅を開放し、カトリック新聞を創刊し、と目覚ましい献身と奉仕の生涯に驚きます。その象徴ともいえるのがこの聖画なのではないかと思えました。

自分の故郷に聖母子を招きたい、という彼の思いに強く打たれました。(M.O.)

(聖画の掲載は教会の許可をいただいております)