東日本大震災から1年が経ち、私は福島の仮設住宅を訪ねました。高齢の女性の方が私たちのいたテーブルに来て、話して下さいました。胸まで津波につかりながら、それでも逃げ切った話を。頭までヘドロでベタベタになったので、近くの家でシャワーを浴びさせてもらい、下着ももらって着替えたことを。体格の良い方ですが、その年齢でよく逃げ切れたと、その精神力・体力に驚かされました。
もう一人の方は、自分は別のところにいて、夫が自宅にいた母親と子供を車に乗せて逃げたそうです。道路は渋滞していて動けなかったので、反対方向の下り道を行き、空いた道に出て、そこから高い所を目指して、波と競争しながら逃げ切ったと。娘さんはその時の恐怖を今でも忘れられないでいるそうです。心の平安を取り戻すには時間がかかるでしょう。時間はかかっても、父親の的確な判断と落ち着いた行動のおかげで命拾いをしたことの方に、彼女の気持ちが向いていって、感謝と自信、勇気につながりますようにと願います。
被災された方々の話を聞いて、あらためて、「聞いてみないと分からないものだ」との思いを深めました。私のできることなど知れていますが、それでも話したい人の聞き手になれたら役に立てるのかと思いました。毎日できるボランティアは祈ること。これだけは欠かさずに続けていこうと思います。
ボランティア:聴く、祈る
- 来なさい
- 4月