台湾の中央山岳地帯に住むブヌン族の間で、宣教活動をしているSr.テレサ・チュンの分かち合いです。
ブヌン族は台湾中部の山岳地帯に住む少数民族で、合唱の美しさで有名です。メリノール会の司祭たちがブヌン族の住むチリにやって来たのは、1955年のことです。それ以来その神父様たちがそこに住むブヌン族の人々にイエスを知らせ、農業や畜産を発展させて、生活環境の改善を手伝ってきました。FMMは、1967年に、メリノール会の招きに応えてチリに入り、無料診療所、産院、学校の寮などを始めました。また、シスターたちはブヌン族の言葉を学び、要理を教えるためにその地域を歩きまわり、時には一晩泊まって翌日帰ることもありました。1976年には、信徒宣教者養成のための2年間の信徒宣教訓練コースを始め、コース終了後、卒業生たちが祈りの指導や黙想会、子どもサマーキャンプの企画などに当たっています。
1999年の地震と2002年の台風によって、チリはひどい被害を受けました。多くの人々が家族、家や財産を失いました。シスターたちは、彼らに寄り添い、彼らの話を聞き、共に祈り、彼らを慰めると同時に、家の再建や生活支援のために具体的な援助活動にあたりました。Sr.パトリシアはブヌン族の女性支援ために薬草園を開き、そこで女性たちが働いて生活費を稼ぐことができるようになりました。
これまで、ここで宣教した修道者たちが、ブヌン族の人々に食料、衣類、家などの援助をしてきた結果、物質的な環境はかなり良くなってきました。しかし、まだ問題は山積しています。アルコールや薬物依存や家庭内暴力、また消費社会の影響を受けた若者たちは、物質的豊かさばかりを追求し、自然との一体感、家族のつながりといった、彼らの伝統的な価値観を失ってきています。
今、私たちは、宣教活動の重点の置き方を変えるときに来ていると思っています。今まで、ブヌン族の人々の生活環境の改善のために支援を続けてきましが、今からはその上に彼らと共に歩み、彼らが自分の中にある力を発見し、それを伸ばすのを手伝うことに力を入れたいと思っています。Sr.パトリシアは、薬草園で働く女性たちの話しを聞き、彼女たちと一緒にその解決策を探すようにしています。また、ブヌン語に堪能なSr.ヘレンはお年寄りや病人の家庭訪問をして彼らの話しに耳を傾けています。また若いシスターたちは、教会の日曜学校で教えたり、青年たちとのかかわりを通して、彼らが神様からいただいた尊厳に気づき、正しい自己認識を持てるように手伝っています。
今の私たちの活動の実りを見るためにはまだ時間が必要ですが、私たちが蒔いた種を必ず神様が成長させてくださることを信じています。神様の愛の証人として、ブヌン族の兄弟姉妹との連帯を生き続けることができますように。
Teresa Teng Huei Chung, fmm