「あなたは学校の先生だったから適任だと思うのよ」の一言に背中を押されて10数年、某医科大学に通うようになった。学生としてではなく一人のシスターとしてである。医学生って・・・?どんな学生生活・・・?などなど、皆目知らずにスタートした仕事だったが「キリスト教文化センター」という大きな名前のついた小さな部屋に寄ってくれる学生達から、少しずついろんな話を聞かせてもらううちに興味が湧いてきて、自分なりに調べたり、学生達の話や愚痴や悩み事から想像をめぐらしたり・・・結構楽しく、また刺激を受けている。何をしているの?と聞かれると困るのだが、訪れる学生達とお茶をしながら四方山話(よもやまばなし)をしているだけである。
医者になるには厳しい勉強をクリアしなければならないので、ストレスの溜まりようもかなりのもの。悩みもある。できるだけホッとした空間、リラックスできる雰囲気を作りたいと思って、時にはお香をたいたり、音楽をかけたり、机に緑の植物を置いたり・・・。目を引くかな?と思うような切り抜きやDVDをさりげなく飾ったり・・・。廊下に群がっている学生達の輪のなかにちょっと顔をだしたり、センターに入りにくそうな学生に声をかけたり、お菓子を用意することもある。真面目な話にも活発。友達、勉強、クラブ、将来のこと等いろいろ。私は主に聞き役。大したことは何もしていない。一緒にいるだけ。話に花が咲いて随分盛り上がっているように見えても授業開始時間には敏感で、iPad片手に慌てて教室に走り去っていくことも多々。出身地もさまざまな、主に十代から三十代の男女学生が混じりあって、意見や情報交換に忙しい日々が続く。なかなか稀有な空間に私はいると、感じている。
Sr. Y.S