マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本セクター

インドネシア「父の祈りと召命」

神様は、ご自分の思いのままに、私たちを導いてくださいます。インドネシアのSr. Katarinaが、ご自分の召命について分かち合ってくださいました。

今ふりかえって、私がマリアの宣教者フランシスコ修道会(FMM)に呼ばれたことは、神様の無償の賜物だと改めて感謝しています。私は小さいころは、修道者になるということなど全く考えたことがありませんでしたが、神様はさまざまな方法で、少しずつすべてを捧げたいという望みを育ててくださいました。神様は時宜にかなった方法で私にふさわしい人を送り、ふさわしい所に導き、いつも共に歩んでくださったのです。

故郷Serangの教会で、私は初めてシスターに出会いました。FMMのオランダ人のSr. Marie Joseです。教会のカテキスタで、いつもにこにこしていて、ご褒美にチョコレートをくださり、提出物にはきれいなスタンプを押して返してくださっていました。他の外国人やインドネシア人のシスターたちと一緒に家族のように一つの家に住み、とても仲良く暮らしているのを見て、子ども心に「不思議だなあ」と思っていました。シスターたちは皆、教会の信徒はじめ町の人々の家庭をよく訪問し、必要に応えておられました。海辺に遠足に連れて行っていただいたこともなつかしい思い出です。私の家族も皆、 Sr. Marie Joseはじめ、FMMのシスターたちのお世話になっていました。

Sr. Marie Joseのカトリック要理のおかげで、私は少しずつ神様や秘跡のことが理解できるようになり、教会で何かお手伝いをしたいと思うようになりました。教会の子ども会に入り、侍者をしたり教会の活動に参加したりして、とても楽しい時を過ごしました。しかし、自分がシスターになるなどということは全く考えたこともありませんでした。高校を卒業するとき、教会活動に熱心な私を見て、母から「お前は、シスターになりたいんじゃないの」と聞かれ、本当に驚きました。というのは、私は信仰はそれなりに熱心でしたし、教会活動にも活発に参加していましたが、それは「立派なお嫁さんとお母さん」になりたいという思いだったからです。それで「いいえ。私はお母さんみたいにいい人と結婚して幸せな家庭を作りたい」と答えました。しかし、その母の言葉によって、心の奥底に神様が置いてくださっていた「シスターのようにすべてを神様に捧げる生き方」へのあこがれに気づき始めました。聖霊が母の言葉を通して私に呼びかけてくださったのかもしれません。

高校卒業後私はジャカルタに出て、大学で経営学を勉強し始めました。そんなある日、一人の友だちに召命黙想会に一緒に行ってほしいと頼まれました。彼女にはシスターになりたという強い希望があり、自分の召命の識別をしたかったようです。それに反し、私は神様に捧げたいという秘かな願いは心のどこかにあったのかもしれませんが、大都会ジャカルタでの刺激的な生活や興味深い大学の勉強にすっかり魅了されて、修道召命など全く考えていませんでした。しかし、クリスマス休暇中だったので、遠足にでも出かけるような気持ちで彼女と一緒に出かけました。Sindanglayaという名前の黙想の家までほとんど5時間の旅行で、山の中腹にある黙想の家からは、緑に覆われた美しい景色が一望できました。その黙想はFMMの召命黙想だと黙想の家に着いて初めて分かったほど、私は召命について無関心でした。

しかし聖霊は、そんな私に黙想指導者の口を通して力強く呼びかけてくださったのです。「神様に奉仕したいと望んでいるのなら、どうしてぐずぐずしているのですか」という言葉です。なぜだかわかりませんが、この言葉が私の心に強く響き、「ぐずぐずしてはいられない」という気持ちで黙想の家を後にしました。残りのクリスマス休暇を家族のもとで過ごすために故郷に帰った私は、すぐにFMMのシスターのもとを訪ね、その当時の院長様Sr. Hildegardに「FMMに入るにはどうしらよいのですか。」と尋ねました。すると院長様はうれしそうに、驚いた様子もなく「ようやく気付きましたか。お父様のお祈りが聞き入れられたのですね。お父様はあなたがシスターになるようにといつもマリア様に祈っていらしたのですよ」とおっしゃるのです。私は驚いて「父が私にシスターになってほしいと思っているなんてありえないと思います」と言うと、シスターは「いいえ、本当です。私はルルドのマリア様の前で、お父様が声に出して祈っておられるのを何回も聞きましたから」と答えられました。

家に帰ってすぐに、父にFMMに入りたいという望みを告げました。喜んでくれると思ったのですが、反対に怒って「だめだ!」と叫ぶのです。父が望んでいたのは、私が大学を卒業してからシスターになること、それも従妹が入っているウルスラ会への入会を望んでいたのでした。またウルスラ会でなくても、いつくかの修道会をよく調べてから決めてほしいと思っていたようです。しかし「ぐずぐずしていてはいけない」という黙想指導者の言葉に押されて「私はもうマリアの宣教者フランシスコ修道会への入会を決心しました」ときっぱりと父に告げました。そして3か月後、迷うことなくFMMに入会しました。

入会後28年が経ちましたが、いつでも神様の御手によって導かれ、神様の御声によって励まされてきました。養成期間中、私は最初に出会った外国人のシスターたちのように、宣教者として海外に派遣されたいと願っていました。ノビスの時にはフローレス島のBajawaで診療所のお手伝いをし、初誓願の後には、同じフローレス島のSoaに派遣されました。Soaは Bajawaよりはるかに貧しく、病人や妊婦のお世話をしました。その後2年間スリランカで、1年は霊的養成、次の1年は宣教体験をさせていただきました。誓願更新の後インドネシアに帰国し、看護師の免許を取りました。

それ以来11年間、スマトラ島Jambi のFMMの病院で奉仕し、同時に若者のグループや若い女性の祈りのグループの指導もしています。今、私は自国にとどまっていますが、人々の必要に応える真の宣教者になるようにという神の招きに、全身全霊をかけて応えようとしています。黙想指導者の言葉を思い出すたびに、どこにいても誰のもとに派遣されても、主のみ旨を行い、主の愛を人々にもたらすために、ぐずぐずしている時間は私にはないと主に呼びかけられているような気がします。父の祈りに支えられて、これからもFMMの召命の道を忠実に歩み続けていくことができるように主の恵みを祈り求めています。 

Sr. Katarina Sutianto, fmm