学校を定年退職した後も、新たな福音宣教の方法を探し求めて、宣教に励むシスターが体験を分かち合ってくださいました。
私は、長い間、学校で教え、修道者として、教育者として、恵まれた日々を過ごしてきました。学校を定年退職してマカオに派遣され、新たな使徒職を探していましたが、450年の歴史を持つマカオには数々の歴史的な名所があり、旅行ガイドというボランティアがあることを知りました。そこで、私は養成コースを受講して、マカオの旅行ガイドの資格を取りました。
旅行ガイドになって、多くの旅行ガイドが歴史的な名所を世俗の概念だけで説明していることに気づきました。例えば、聖パウロ教会跡の彫刻です。女性と龍の彫刻がありますが、それは黙示録12:1-6の場面なのですが、外国人の女性が龍を踏んでおり、龍が中国で、女性はポルトガルやアメリカだと説明されていることが多いのです。
人々を案内すればするほど、私は自分が語っていることを書き留めたいと思うようになりました。もともと、昔教えた生徒たちのために何か自分の体験を分かち合う本を書きたいという思いがあったのですが、上記のような間違った解釈を聞くうちに、ユネスコ文化遺産地域について本を書きたいと思うようになりました。80歳の私には無理だという思いもありましたが、人生最後の大きな使徒職と思って取り組みました。それで、まず、マカオの歴史について、研究することから始めました。マカオ歴史地区が世界文化遺産に指定されたのは、2005年で、6つのカトリック教会、3つの仏教寺院などが含まれています。それで、私は、マカオの主な宗教やマカオの歴史についての知識を磨かなければなりませんでした。書くことは私にとって難しいことではありませんが、中国語のタイプは問題で、何回もタイプをし直さなければなりませんでした。コンピューターに慣れていないので、間違った所を触って一つの段落が全部消えたりして、何回もやり直さなければなりませんでした。
幸い、出版のために寄附して下さる方があり、まもなく出版の手はずが整いましたが、出版社を探すのは、退職した身としては、能力以上のことで、とても困難でした。しかし、主のお蔭で、この困難を乗り越えることができました。私はこの本は、私が一人で書いたものではなく、神様と恩人たちとの共著だと思っています。
できる限り古い歴史をさかのぼり、マカオが小さな町から有名都市に発展するまでに、ポルトガル、スペイン、イタリア、オランダ、フランス、そしてイギリスがどのような関わりをもってきたのかを記しました。またヨーロッパの4つの大きな修道会がマカオに来て信仰を伝えるためにどのような苦労をしたのかも伝えたいことの一つでした。
修道者として、私は彼らが犯した過去の過ちを見逃しているわけではありませんが、歴史地区の建物や像に「肉と骨」をつけて、生きた歴史を再現したかったのです。大いなる神の栄光のために、どんなに宣教者たちが熱心に働いたことでしょう!私は、歴史上の聖人や建物を生き生きと感じることができました。
校正は、私にとってとても困難なことでしたが、どうにかやり遂げることができました。ようやく出版にまで漕ぎつけ、印刷した7000部はすぐに売り切れました。今は第二版のために、訂正箇所を探しているところです。
ブックフェアで、著者による新刊書の紹介があり、私も1時間を与えられました。パワーポイントを使って1時間の講演を準備し、多くの人々が聴きに来てくれました。マカオの昔の宣教者の姿を伝えるために、最善の努力を払いましたが、マカオの歴史をこのような関点から描いたのは私が初めてだと言われ、うれしくなりました。
現代世界において、福音を伝え、イエスの真の弟子としての証しをするためには、私たちは従来の方法を踏襲するばかりでなく、新たな方法を探し求めなければなりません。そして、観光のためであっても、このような本の出版が、新たな福音宣教の方法の一つになったのではないかと、80歳を過ぎた老修道女は、うれしく思っています。
Margaret Fung Sui-fun, fmm