マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本セクター

うらしま花子の物語 (6) 物語の終わり

photo20141230「手紙(2) 物語の終わり」 

南の国にも、暑いクリスマスがやってきたことでしょう。
みんな元気ですか?
みんなからもらったクリスマスプレゼントを胸に、日本に帰国して、もう1年がたとうとしています。開けることのなかった大切な箱、だって開けた途端、宝が消えてしまいそうな気がしたから。

私の宝-それは子どもの家に来たばかりのみんな。
いつもおなかかが空いていて、私のポケットのあめを探す小さな手。
不安そうな顔をして、泣いている子もいたね。それから少しずつ一緒に遊ぶこと、食べること、勉強すること、お祈りすることを覚えていったね。
朝5時に起きて、洗面器1杯の水で上手に体を洗ったね。
重い荷物で、困っている人がいると、頭に上手に載せて運ぶのを手伝ってくれたね。
女の子だと言うのに、殴り合いのケンカになって、あわてて止めに入った私がつきとばされると「シスターに何をするー」と言ってみんなでそのケンカを止めてくれたね。
料理や縫物やお洗濯、何でも自分でできるようになったね。
そして今は、最上級のGRADE7。私よりも背が高くなり、美しく、たくましくなったみんな・・・
あまりにもその宝物が輝いていて、きれいだったから、私はこの手に握りしめていたかった。

でも、クリスマスの夜、どこからか声が聞こえてきた。「私だ」・・優しい声が。

箱の中からだろphoto20141230-2うか?そして、そう、思い切ってあけてると、箱は思っているよりももっと深くて、底はみえない。開けてなくなるものは何もなかった、もっと豊かにされるようだった。開けるともっといろんな宝が入ってくるようだった。不思議だね。私の心は、今、とっても自由で新しい。みんなと初めて会った時のよう。どうして箱を開けることができたかわかる?その時、みんなの声が聞こえてきたから。「開けなよ、シスター」ってね。いつも助けられてきたけど、今度も・・だったね。ありがとう、みんな。ありがとう神さま。

うらしま 花子

PS.みんな、わかる?「私だ」と言う不思議な声は、もう聞こえないけれど、
それは私に命を与えてくれる声だったんだ。

今日のみことば
「初めからあったもの、わたしたちが聞いたもの、目でみたもの、よく見て、手で触れたものを伝えます。すなわち命のことばについて。この命は現れました。」
(ヨハネの手紙一 1:1-2)

祈り
「いのちの主よ、世界の宝であるすべての子供達が、いのちを選び、愛し、愛される者となりますようにお守りください。」

( 写真・文: Sr. M. U )

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