思いやりのある地域社会づくりのミッションに携わっているシスターMarlene Pereraは、多宗教の社会での連帯の体験を話してくれました。
8月5日、2つの村の漁民たちが協働作業のために集まりました。25家族の暮らしがかかっているAluth wea (湖)で異常に増えた蓮を取り除く作業です。この数年間に、蓮が湖の表面一杯に広がり続け、舟が通るのをほとんど不可能にしているのです。この事実は漁業組合に通知されましたが、組合は少しも興味も示してくれなかったので、漁師の家族たちは困難に直面してしまったのです。この日より1カ月ほど前に、私はこの2つの村の人々を集め、互いに連帯して勉強しあう計画を立てました。
一つの村はイスラム教、仏教、カトリックと宗教的に混ざっていますが、互いに理解しあい支えあっています。もう一方の村はいつも些細なことで言い争っていたのですが、この問題で、彼らは蓮を除去する共同作業に参加し、実行に移すことにしました。共同作業は異宗教間の村人たちの短い祈りで始められ、夕方までかかって湖のかなりの部分がきれいになりました。その間、女性群はグループのために食事を準備して手伝いました。この蓮の掃討作戦は大成功で、村を悩ませていた問題の解決だけでなく、2つの地域社会を仲良くさせることができたのです。
この4年間、私たちの共同体はこの地方の6つの村における「思いやりのある地域社会の建設」に携わってきました。人口の大半は仏教徒の農民で、別の地方から移住してきた、主として漁師のカトリック教徒は村の中で散らばって居住しており、さらにある地域にはイスラム教徒も数家族います。私たちの目的はこれらの人々を一緒に集めて、相互の尊敬と理解で問題を解決し、発展していくために一緒に行動していくように助けることです。
まず、責任がとれるリーダーたちを集めて小さなグループを幾つか作ることから始めました。それぞれのグループには、自分たちの能力に応じて毎週少額の共同基金を貯蓄するように勧め、そこから必要な小額の緊急貸付金を取り、さらに、養鶏、養羊、裁縫、煉瓦作り、織物ペイントなどで余剰収入を得るためにもローンを組みます。今では50,000ルピー以上の貯蓄を持っているグループもあります。貸付に関係するすべての決定は、メンバー一人ひとりの必要を考慮し、グループで行います。グループには農業従事者もいるので、漁民たちは彼らの権利取得のために組織作りを手伝い、助け合っています。このようにして、連帯意識が農民と漁師たちの間に生まれ、共通理解を通して相互の違いの溝が埋められています。
意識化のプログラムは、相互の違いによって豊かになった村人の間にリーダーシップを作るのに大切な場です。今年、私たちは地球規模化、人権、女性・子供の権利、児童虐待、土地の権利、スリランカの国民に対する平和と和解のリーダーシップなどに関するセッションをしました。ここで、彼らは意見交換や共同研究を通して相互に成長する場を築いてきました。
また技術訓練のために、裁縫、布地ペイント、木工、自転車修理などの小さな訓練工場も作りました。6つの村の若者たちも平和と和解、環境問題への気づきなどについて、ポスター作り、美術展示、ワークショップ、劇や歌で共に活動しています。
村の貧しさと共に歩むことは骨の折れる難しい仕事であると気づいています。なぜなら、それは「金銭」文化に対する戦いだからです。貧しい人たちはメディアによって、絶えずもっと所有し、もっと要求するようにそそのかされ、それは彼らの間に対立や暴力さえ生みだすものとなってしまいます。私たちは彼らの中に育っている連帯によって勇気づけられ、その中に貧しい村人たちの善意と知恵を発見し、それが私たちにとってのインスピレーション、チャレンジの源となっています。確かに、「貧しい人は幸い、天の国は彼らのもの」なのです。私たちのうちに、私たちの間で、また、私たちを通して、神の国の実現に導くよう働かれる聖霊と人類の生来の善に信頼し、人間的な心配、疑い、恐れ、模索、弱さ、失敗のただ中にあって、また、人間としてのあこがれ、渇望、連帯への努力の真っただ中で、私たちはあえて希望をもって前進するのです。
Marlene Perera fmm