マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本セクター

「SAYAMA-見えない手錠をはずすまで」

先日「狭山事件」の石川一雄さんご夫妻の日常生活を3年間撮り続けた、ドキュメンタリー映画を見に行ってきました。

チラシには「殺人犯とされて51年-泣き、笑い、怒り、日々を“凛”と生き抜くふたりの物語」と
ありましたが、石川さんは被差別部落出身ということで、きちんとした証拠も何もないまま殺人事件の犯人にされ、無期懲役の判決を受けたまま獄中で32年、仮出獄されてから19年にわたって、「私は無実です」と現在も訴え続けておられる方です。

これを聞いただけでも、何てひどい人生かと憤らずにはいられませんし、どんなに悔しく、恨みつらみもたくさんあることだろうと想像するのですが、彼は言います。
「不運だったけど、不幸ではない!」と…。

そして映画を通して出会うのは、ほんとうにまっすぐに「冤罪」という人生を受け止めて歩んでいるご夫妻の姿でした。思わず声を出して笑ってしまうような、日常の何気ない、ユーモラスなやりとりもたくさんあり、見終わった後で、どうしてお二人はこの状況に置かれてこんなに温かくいられるんだろう?と考えてしまいました。拳を振りかざす正義ではなく、真実を求め、訴え続けて生きてこられた姿が静かに心に残っています。

sayama movie

神は平和を約束される。その民、神に従う民に、心を神に向ける人に。
いつくしみとまことはめぐり合い、正義と平和は抱きあう。 (詩編85)