カナダ管区の若いシスターカレンが、アメリカのテキサス州、エル・パソでのミッションの体験を分かち合ってくださいました。
これから、アメリカとメキシコの国境地帯にある都市、エル・パソで過ごさせていただいた、6ヶ月のミッションの体験を分かち合いたいと思います。エル・パソでは、シスターたちや周りの人々が、暖かく迎えてくださり、多くのすばらしい体験をさせていただいたことを心から感謝しています。
エル・パソでの、私の主な使徒職は、聖ピオ幼稚園のお手伝いで、週4日間、子どもたちのお世話をしました。子どもたちは本当にかわいらしく、アメリカの教育の一端を見せていただきました。中には、より良い教育を求めて、メキシコから国境を越えて毎日通ってくる子どももいて、驚きました。
また、毎週、火曜日と木曜日の午後には、聖ピオ教会のRICOグループに参加して、国境を越えようとして収容された子どもたちに、キリストのメッセージを運ぶお手伝いをしました。この子どもたちは、明るい将来を夢見て国境を越えてアメリカにやって来てつかまり、収容所に入れられてしまった家族の4歳から12歳までの子どもたちです。子どもたちが、貧しく抑圧された人々を特に愛されるキリストの愛を感じられるように、聖書のお話しや音楽など様々な活動をしています。また日曜日の午後には、国境でつかまってしまった青年たちのセンターを訪問しました。これらの子どもや青年たちが、一日も早く家族と共に幸せに過ごすことができるように祈らずにはいられません。
金曜日には、希望の家、ヴィラ・マリア、女性シェルターなど、非正規移住者のために様々な活動をしているセンターを訪問しました。それらのセンターでは、非正規に入国した移住者たちに食事や衣類、住居を提供するばかりでなく、ビザを取るための法的手続きの援助もしています。彼らは、より良い生活を求めて、非常に危険な方法で国境を渡り、アメリカに来てからも、つかまるのではないかといつもびくびくしながら、生活しています。それで、様々な支援団体は、それらの声なき人々の声であるばかりでなく、彼らを照らす一条の光となっているのです。
クリスマスには、成人の収容センターで、ミサにあずかることができました。自由と平和に暮らせる場所を求めて長く危険な道のりを旅してきた挙句、センターに収容されてしまった人々と共にあずかったミサは、とても感動的なものでした。多くの女性たちが涙を流していましたが、きっと国に残して来た、愛する家族のことを思い出していたのでしょう。そのミサには、約140名の男女が参加していましたが、一人一人に、それぞれの悲しみと苦しみに満ちた物語があるのです。センターをいつも訪問しているシスターベアトリスが、彼らの国境に至るまでの苦しい体験談を分かち合ってくださいましたが、それは想像を超えるひどいものです。シスターたちは、クリスマスの頃に、エル・パソの貧しい地域で、トレーラーの中で極貧の暮らしをしている非正規の移住者たちに、食物を配りました。私も、5家族のもとを訪ねる機会をいただき、本当に意味のあるクリスマスを過ごすことができました。
エル・パソ滞在中のもう一つの貴重な体験は、メキシコとアメリカの国境のフェンスを訪ねたことです。シスターマリーと一緒に、フェンス越しに、フアレスの人々に物を投げ入れました。子ども、大人、そして赤ちゃんを抱いた若いお母さんたちが、ほんのわずかなものであっても、何かを手に入れようとして、走り寄って来るのです。私たちは、洋服、靴、おもちゃ、キャンディー、そして祈りのカードを投げ入れました。何かを手に入れると、自分たちの掘っ立て小屋に戻り、家族を連れて、フェンスのところにまたやって来るのです。
私は、エル・パソの人々の信仰深さに心打たれました。教会はどこでも人があふれ、色々な活動が繰り広げられています。グアダルーペのマリア様のお祝いにあずかれたことは幸いでした。聖堂一杯にバラの花が飾られ、夜は聖堂に入りきれないほどの人々が集まりました。ミサの説教の中で、メキシコの15世紀に、マリア様がホアン・ディエゴに現れ、司教様にメッセージを伝えるようにとおっしゃった様子の劇が演じられました。本当にすばらしいお祝いで、これからもずっと心に残ることでしょう。
今、私は、エル・パソから遠く離れていますが、私の心は、今でも、これらの人々の近くにあります。一日も早くすべての人が自由で平等の機会のある世界になるようにと日々祈りを捧げています。
Karen Corera, fmm