私は北海道釧路市で生まれて育ちました。家族は両親と弟1人の4人家族で、母だけが信者でしたが、両親が結婚するときに神父さまと約束したそうで、子供たち2人は幼児洗礼を受けていました。私は小さいときから心臓が悪くて、身体の弱い子供でした。じつは母は若い時に修道生活を希望したこともあったそうですが、結婚後は家で店をしていたこともあり、子供たちを連れて日曜日のミサにはなかなか行けませんでした。そういうわけで初聖体も他の子供たちより少し遅く、小学6年生のときでしたので、記念写真には一人だけ頭が飛び出して写っていますっ。でも、その初聖体の準備のために教会に行ったことから、毎週ミサに通うようになりました。教会はイタリア人のフランシスコ会の神父さまたちが司牧している教会でしたが、初めて会った神父さまからも「こ〜んなちーさい時から知ってるよ〜」なんて言われたりして…、神父さまたちはみんな父親のような存在でしたね。その後は教会の中学生会や高校生会などに入ったりしましたが、青年会になったときには、ほとんど会長兼会員って感じで、私ひとりぐらいしか青年がいなかったので、近くにあった隣の小教区の青年たちと一緒になって、自分たちの黙想会や中高生たちのお世話などをしていました。
* 修道院に入ろうと思ったのは?
何となくシスターになりたいなぁという気持ちは10代の頃からあったのですが、母からは無理と言われてしまい、具体的に考えたりはしていませんでした。それが教会の友人が、FMMの札幌修道院で行われた黙想会に参加することになり、“お付き合い”で一緒に行くことにしたところ、結局友人は都合が悪くなってしまい、私ひとりで参加したことをきっかけに、それ以後毎年欠かさず参加するようになったんです。
3~4年ぐらい続けたでしょうかね。その間には、他の修道会のシスターと出会う機会もあり、修道院訪問などもさせてもらったんですが、かえってそれで「やっぱりここじゃない…」と気づかされたこともありました。そうこうしているうちに、東京に行く機会があり、せっかくここまで来たんだからとFMMの修練院を訪れたときに、「ここだ〜」と確信みたいなものを感じたんですね。それで、家に帰ったらすぐ母に話しをしようと思い、神様に「どうぞ母を説得する力をください!」と祈ったんですが、なぜかその時は説得するまでもなく、すぐに「いいよ」と言ってくれました。シスターとしてこうしたい、ああしたいというような夢とか、何か特に具体的なものはなかったのですが、することは何でもかまわないから、ただ神さまの道具になりたいという思いだけだったような気がします。小さい時からいつも見てきたフランシスコ会の兄弟たちから、知らず知らずのうちに影響を受けていたのかもしれませんね。そして、次の黙想会の時に入会への希望を伝えて、仕事も辞め、アスピラントになりました。
* その後迷ったことなどは?
戸塚でアスピラントをしている時、老人ホームでお手伝いをさせてもらっていたのですが、初めて釧路を離れての生活で、梅雨など慣れない気候や緊張のせいか、腰を痛めて起きられなくなってしまったことがありました。その時には気持も落ち込んでしまい、自分には召命がないのかなぁ…と考えたりもしたのですが、私の人生がこのまま寝たきりで終わることはないんだから!と気持ちを切り替え、しばらくして身体も元気になったら、そんな迷いもいつの間にか消えてしまいました。志願期、修練期は幸い同期の姉妹たちとお互いに支え合ってこられたので、あまり大きな浮き沈みはなかったように思います。
* 今振り返ってみて言えること…は?
自分の将来についてあれこれ探したり、悩んだりしていた時期は、とにかく毎日起こる出来事や出会う人などについて、ひとつひとつ「これかな?」とか考えていましたね。神様に「どうぞ導いてください!」と、祈った後でお見合いの話がきたりしたこともあって、「ということはこの人??」なんて感じで…。でも、とにかく神さまが送ってくださる体験や出会いにひとつひとつ向き合ってみようという姿勢があったかな。だから、お見合いもちゃんとしましたよ!でもやっぱり何か違う気がしたので、いまここにいるんですけどねっ。振り返れば、その節目節目に自分を引っぱってくれた誰かがいたなぁと思います。神様はちゃんと助け手を必要な時に与えてくださるっていうこと、そのことに信頼することが何より大切なんじゃないかな。
私の好きな創立者の言葉に「本会の創立が私の仕事であるならば、私と一緒に滅びるでしょう。しかし、神の仕事であるならば、きっと続いていくことでしょう。」というのがあります。
もちろんそれほど大きな事ではないけれど、入会してから今日まで歩いてきた道の途中で、私もみ旨が行われますようにと祈りつつ、神さまの業をたくさん体験してきました。だから信頼して恐れずチャレンジすること!を、若い方たちにも大切にしてほしいですね。