マリアの宣教者フランシスコ修道会 日本セクター

洗礼名の由来

カトリック教会では洗礼を受ける時、保護の聖人の名前を洗礼名としていただきます。ある程度大きくなれば自分で選べますが、幼児洗礼であれば、親や代父代母となった方が決めます。親や代父代母の洗礼名をいただくという習慣もあるようです。私の場合は、代母が決めた名前をいただきました。 今回はその話を分かち合いたいと思います。 

私の洗礼名は『マリア・マグダレナ』と言います。新約聖書を読んだことがある方はご存じでしょう。 諸説ありますが、7つの悪霊に取りつかれていた(マルコ16:9)とか、姦通の現場を取り押さえられた女(ヨハネ8:1~)や『マルタとマリア』(ルカ10:38~)の『マリア』も『マリア・マグダレナ』だと言われています。さらに、イエスの十字架のもとに母マリアと共に立っていた(ヨハネ19:25)とか、復活したイエスに会った第1号(ヨハネ20:11~他)と言う名誉をいただいたあの『マリア・マグダレナ』が私の洗礼名だと思っていました。私が修練院(シスターになるための養成所)を卒業するまでは・・・。

私たちの修道会では「誕生日」と「洗礼名」の聖人のお祝い日には歌やカードをいただき、時にはそれなりのごちそうが出たりします。私も『マリア・マグダレナ』の祝日7月22日に普通に祝っていただいていましたが、子どもの頃は、友達は『マリア』とか『テレジア』とかいかにも子どもらしい洗礼名なのに、私は妙に大人っぽい洗礼名で嫌だったのを覚えています。私の洗礼名は代母になってくださった方が名付け親でもあるのですが、私が教会に通い始めた頃は引っ越してしまっていて、洗礼名を『マリア・マグダレナ』にした理由は聞いていませんでした。

私が初誓願を立てた次の日のこと、母と修練長が二人で聖人伝をペラペラめくっているのを見たので、声をかけると母が言いました。

「あなたの洗礼名の聖人は聖書に出てくる聖人じゃなかったの、カルメル会のシスターの名前なんだって。」

「ホントに?」

見つけたのは、5月25日の『聖マリア・マグダレナ(パッジ)おとめ』でした。母が言うには、娘が初誓願を立てることを代母の方にお伝えしたところ、代母の方が、私に祈る人になってほしくてこの名前をつけたと教えてくださったそうです。ただ、『(パッジ)おとめ』の部分がなかったために、私たちは聖書に出てくる『マリア・マグダレナ』だと思っていたのでした。

私の友人に、

「聖人伝に名前がないんだよね。」

と、言う人がいました。その人がある修道会に行って、『会の聖人伝』のような本に自分の洗礼名の聖人を見つけてびっくりしたとか、

「諸聖人の日に祝ってたけど実は…。」

と言う方もいましたが、まさかその中の一人になるとは思ってもいませんでした。

 よく祈っているかどうかは神様にお任せしますが、祈ることを生業にしている修道者に(霊名の聖人と修道会は違いますが)私もなりました。    (SrH・K)

 

聖マリア・マグダレナ(パッジ)おとめ (15661607)

マグダレナは、イタリアのフィレンツェの名門パッチ家に生まれた。幼い時から愛に満ちあふれ、信仰深く、生涯を神に捧げたいと思い、カルメル会の「天使の聖マリア修道院」に入った。マグダレナは、18歳で誓願を立てた後、ますます多くの恵みを神から受けるが、同時に重病にかかったり、精神的苦痛や絶望への誘惑など、多くの耐えがたい苦しみも受けた。しかし彼女は「死よりも苦しみを」をモットーにし、祈り続けそれに耐えた。彼女の深い超自然的知識と愛は、会の修道女たちをより高い徳へと導いた。彼女の遺体は腐敗せずにフィレンツェの近くのカレッチ修道院に眠っている。彼女の肖像画は、胸に燃える心臓を記し、手に茨の冠を持った姿で描かれている。

(女子パウロ会・聖人カレンダーより)