海外での宣教体験のためにスリランカに派遣された、コンゴ・ブラザビル―カメルーン管区のシスターエンマ・イネスからの手紙です。
…管区長からスリランカに海外宣教体験に行くように言われた時、私は本当に驚いてしまいました。有期誓願者なので、自分の国から出ることなど決してないと思っていたからです。しかし、すぐに、会憲の次の言葉が心に浮かびました。「宣教とそれに伴う危険に備えて、マリ・ド・ラ・パシオンは、私たちが信仰のうちに無条件に自分を差し出す態度と堅固さをもって、すべてを後にして派遣されるところには、どこにでも行く覚悟ができているように望みました。」(会憲40)そして、数分後には「あなたは生まれ故郷、父の家を離れて、わたしが示す地に生きなさい。」(創世記12:1)というみ言葉が心に浮かび、全く知らない土地であるスリランカに行くことに不安はありましたが、主に信頼して「はい」と答えました。そうすると、不思議なことに、それまで感じていた恐れがすべて消えて行ったように感じられました。
数日後、スリランカに向けてコンゴを出発しました。到着して2日後、ヌワレ―エリヤ修道院に派遣され、そこで7か月を、そしてハットン修道院で、3か月を過ごしました。その10か月間は、修道院の活動に参加しながら、英語の勉強をしました。その後は、ムカラキリヤとマヒヤガンナに行きました。
スリランカの人々の多くは、仏教徒です。そしてそれ以外に、ヒンズー教やイスラム教の人々いますが、キリスト教徒は、ほんの少数に過ぎません。言語は、シンハラ語、タミール語、そして英語が使われています。本会はスリランカに、1886年に創立され、現在は16の修道院があります。全世界から、宣教体験のために、多くの有期誓願者や終生誓願者を受け入れている管区です。
スリランカに着いて、初めの頃は、苦しく、時間が経つのがとてもゆっくりに感じられました。スリランカとコンゴでは、気候も文化も食生活も何もかも全く異なり、その上、私はこの国の言葉を話すことも聞くこともできなかったので、コミュニケーションを取ることが本当に難しかったのです。しかし、時が経つにつれて、環境にも慣れ、少しずつコミュニケーションも取れるようになりました。
スリランカでの私の生活はどのようなものだったのでしょうか。
私たちの会憲には、「共同体における聖体の現存と福音に基づく兄弟的生活、祈り、苦しみの奉献は、福音化の基本的なかたちであり、時として、これが唯一の可能性となります。」(会憲38)という言葉がありますが、私のスリランカでの宣教は、祈り、生活の証しや小さな奉仕に限られていました。私は言葉のせいで、役立たずの無能の人のように感じられましたが、同時に、この生活の中でも、宣教者としての喜びを感じていました。この体験を通して、宣教が、「すること」ばかりではなく、シスターたちや周りの人々に対する「あり方」が大切なのだと分からせて頂いたことは大きなお恵みだと思っています。
言葉の限界があり、人々と深いかかわりを築くことはできませんでしたが、新しい友達を作ることもできました。‘kohomade’(お元気ですか)や‘hodaye’(元気です)などの挨拶を交わし、‘oyagenamemokade’(お名前は)などで、少しずつかかわりを作っていきました。マヒヤガンナでは、近所のハリ氏が、世界宣教に興味を持ち、アフリカの宣教について知りたがっておられましたので、毎日片言の英語で話しをしました。言葉の問題で、きちんとした説明はできなかったのは残念でしたが、心を通い合わせることができたことはうれしかったです。
カトリックが多数派の地方で育った私にとって、キリスト教が少数派であるスリランカでのシスターたちの宣教の様子を見させて頂いたのは、とても幸いなことでした。大部分が仏教徒である中での宣教は、本当にデリケートなことだということを体験しました。シスターたちは、人々にキリストの姿を見せられるように努力しておられます。アジア大陸の宣教を体験する機会を頂いたことは、本当にすばらしいことでした。
ここでの体験を通して、私は、宗教、言葉、文化の違いが共に生きる障害にならないことを実感させて頂きました。必要なことは、愛と相手を思いやる心遣いなのだと思います。私は、以前は言葉を通して初めてコミュニケーションが取れると思っていましたが、私たちの沈黙の存在が、言葉以上に力があるということを体験しました。
有期誓願者として、ここでたいへんすばらしい養成の機会を頂いたことを感謝しています。この体験を通して、自分が頂いている神の恵みを再発見し、それを生き、喜びと困難を通して、FMMのカリスマの理解を深めることができました。私たちの宣教者のカリスマが、困難さは伴いますが、とても豊かなものであることを再確認いたしました。これからの生活の中で、この体験の恵みを生かしていくことができますように。最後になりましが、この体験を支えてくださった多くの方々に心からの感謝をお伝えしたいと思います。神様の豊かな祝福がお一人お一人の上にありますように!
Emma Ines Yombo, fmm